完成させた手編みニットを解くことは、気が重いです。「解いて編み直すことができる」のは、手編みのメリットとしてニッターさんの共通認識でしょうし、私もそれはそうだなぁ、くらいには賛同します。
でも、解かないですむならそれにこしたことはない。着古して伸びてしまったというならもちろん納得できますけど、完成させてはみたものの、イメージと違っていて気に入らなかったとか、サイズが合わなかった場合は、単純に、かけた時間と気力が全部水の泡ですもの。
ただ、私は負け惜しみでも開き直りでもなく、編んだこと自体は無駄ではないと思ってます。手編みにかぎらず、「ものづくり」全般は、あらゆる失敗も含めて全部経験になっていると思いたい。
がっかりするけど、ため息つきながら、編んだものを「解こう」と決断する瞬間はむしろすがすがしくもあります。だって、もやもやした気持ちからおさらばだもの。「せっかく編んだんだから着よう」なんて、手編み人生の本末転倒。気に入らないならきっぱり思い切って解いたほうが毛糸のためでもあります。
…なんて、えらそうな前口上、編んでから気に入らず、かといって解く気にもなれず、1年以上も放置させた私の、どの口がいうかって感じですが。
クローゼットにまるめてしまっていたのですが、それでも袖の部分にすっかり折り皺がついてしまいました。
パターンは「てあみニット あき ふゆ そでつけなしのあったか服」から「丸ヨークカーディガン」です。
指定糸はオリムパス「アルパカコンチェルト」。すでに廃番ですが、本のサンプル画像で見る限り、ふわふわと柔らかく、軽そうなアルパカ糸です。
私はこのパターンに、Madelinetosh Vintageを使用してみました。カラーは「earl grey」。オレンジ〜カーキ〜水色が移り変わるとても好きな色調。
Toshの糸につきものの、カセごとの染めムラは、「2つのカセを交互に編む(alternate skeins)」手法で回避しています。
でも、結果的には糸の良さもパターンの良さも生かせない作品に仕上がってしまいました。
こっくりした色味の艶のある糸にはもうすこしフェミニンなデザインが合うし、この単純なパターンにはやはり素朴なアルパカ糸が合います。
何より、全編ガーター編みなので、強撚糸はずっしり重くて、着てられません。見た目もがっちりしてて、カーデというよりジャケットみたい。
糸の表情を楽しめるから、シンプルなパターンがいいなと思ったのです。
でも、編んでみないとわからないものですね。
「これはなんか違うわ…」と思って、ボタンもつけず(探しに行って、合いそうなものを購入済なのですが)、結局未完成です。
今編んでいるボーダーカーデがそろそろ仕上がるのですが、次に編むものは「Crew」で、これは糸のキットが届くのが来月中旬以降です。それまで少し時間ができました。
ひとつ完成させたら間髪をいれずすぐ次の作品を始めてしまうので(間を置くと、生きている間に糸の在庫を捌き切れない!という悲壮感→その割には、新しく購入した糸で編んでいたり)なかなかこうやってポコっと時間があくこともないんですけど、ちょうどこれを解いて巻き直すタイミングができました。
この糸を買うときに、候補として挙がっていた「February lady sweater」でやり直そうと思います。
Meekさんが愉快な富士山をこしらえていて、可笑しかったのですが(笑い事じゃないのに、ごめんなさい)このパターンやっぱりとても可愛い。それで今回の踏ん切りがつきました。
ガーター編みはヨーク部分だけだし、レース編みメインだから、(少なくとも、見た目だけでも)そんなに重くならなそう。
編む順番はもうちょっと、いやかなり先ですけど^^;