【過去作品】三國万里子さん「アランのカーディガン」に思うこと

mikuni_alan

 長い時間をかけてひと目ひと目編み進めて、ようやく完成する手編みニット。それを、労力に見合うくらいには(手間ひまの元をとれるくらいには)着てますか?
 編んだはいいけど、クローゼットに冬眠させてる作品、編み人なら誰でもひとつやふたつ、ありそうですけど。着るために編んでるんですから、着ますよね。私は、考え込んでしまいます。どれほどの着れる作品を編んできたか、思い返すと、愕然とするほど、ありません。昔からニットは大好きだから、ざっくりした手編みニットも含め、既製品は普通に買ってました。「handmade」というタグを眺めながら、「自分でも編めるんだけどな」と思いつつ。でも、本当に編めたのかしら。

 「私は編み物ができる」と子供の頃からずっと自負していたけど、今思えば、私は、「着れるものを編む」ということに対してずいぶん無頓着でした。編み物歴は無駄に長くても、ゲージをちゃんととったことがなかったし、毛糸玉の、グラム数と長さの関係も考えたことがなかった(極太・並太・あと細い糸がある、程度の区別はつけてましたけど)。そもそも「ゲージ」という概念がなかった高校時代、それで巨大なカーディガンを編んでしまい、その記憶はいまでも若干のトラウマです。くわえて編み方は超自己流、「編むこと」自体が目的となってしまっていて、完成品がどうであろうと(完成できないまましまいこんでしまうことも度々)編んでる最中は楽しかったからまあいいや、と。編んでもなんだかしっくりこないものばかり出来上がるから、そこでモチベーションが下がって、やめてしまう。でも、寒くなってくると、毛糸に無性に触りたくなって、ごそごそと編み針を探し出す。そんなことの繰り返し。私の編み物本棚は、思い出したように編み針を手にしてはやめてきた遍歴がよくわかります。94年頃の「毛糸だま」が2冊、2000年頃のもの、2005〜06年頃のものが何冊か。子供の頃の、80年代の本はとっくに処分してますから、もうありません。

 2011年の秋、久しぶりに戻ってきたときは、雄鶏社が消えていて驚いたし、ravelryも興隆していて、「付け替え輪針セット」なんてものも売られていて、すっかり浦島太郎でした。

 それから2年半が経過して、私は編み物への取り組み方がずいぶん変わったなと思います。以前と今と、何が違うのかというと、上手なニッターさんのブログを読むようになったこと、そこでraverlyに出会ったこと。画面の向こうには素敵な作品があふれていて、私のこれまで編んできた大きすぎたりきつすぎたりするニットを思い浮かべ、「編み物ができる」なんて自負はガッタガタ。考えてみたら、アランニットだって既製品を買うことはあっても、自分で編んだことはなかった。あれもやったことない、これもやったことない、の連続で、自分の編み物経験の浅さを思い知りました。

 冒頭の三國さんの「アランのカーディガン」は、「着れるものを編む」ことに自覚的になって編み、仕上がりに満足できた初めての作品です。初めて編んだアランニットでもあります。難易度はなかなかに高かった。ゲージがうまくでなくて、何度も編み直しをしました。なので、思い入れはちょっとだけ大きいです。今年で3度めの冬になりますが、良く着ています。袖には毛玉ができはじめてますが、毛玉いっぱいになって肘も出てきちゃってなんとなく古びてくるくらいまで着倒せたらいいなと思います。

使用糸:パピー ブリティッシュエロイカ
色:143番(オートミール色)
使用量:13玉くらい。
使用針:匠 11号、8号、7号

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3 Comments

  1. anemoneさん、おじゃまします!
    もうお友達になったつもりのびきっくです。
    今回の記事もすごく共感します。わたしも小学校高学年で初めて真っ黒なアクリルの並太でメリヤスオンリーのセーターなんか編んで、中高生のころは編みものなんか全然してなくて、大学生のとき本を見ながら10玉なんぼの糸で縄編みの入ったセーターを編んだけど、スペックやゲージなんか全然知らなくて(笑)完成品は見事に小学生サイズで近所のこどもにあげてしまいました。就職してまた編み棒から離れて、母親になって寝ているこどもの傍らでできる趣味として再開した、って歴史です。本格的にのめりこんだのもつい最近でやっぱりインターネットの力が大きいですよね。世界中の糸が買えるわ動画でテクニックは学べるわ居ながらにしてニットを探求できるってすごい。経費もほとんどかからないですしね。三國さんのアランカーデ、かわいいですね。オートミール、やっぱりいいなあ。長く着れるのってやっぱりこういうデザイン、こういうカラーなんですよね。「春だしパステルカラーで」とか無理しても気に入ってる色じゃないと結局着ない(笑)やはりgoing my wayが一番です。

  2. anemoneさん、こんにちは!
     教えていただいた「コンビ式」すっかりはまってしまいました(^.^)
    新しい技!?を学べるってうれしいですね。

     三國さんのアラン、とてもきれいに編まれていますね!
    こちらはまだ、コンビ式時代のものですか?

     三國さんの作品は、挑戦してみたいものがたくさんあるのに、問題はゲージ。
    まともにゲージが合ったためしがありません(-_-;)

     《着られるものを編む》って、本当に難しい。
    その分、フィットしたものが出来上がったときの満足感は、なにものにもかえがたいものがありますね。

     編み物とは関係ありませんが、WordPress を使われているのですね(゜゜)
    編み物以外も、できますね(^o^)
     

  3. びきっくさん、こんばんは**
    編み友さんができて、私も嬉しいです^^ 似たような編み物暦をお持ちなんですね。毛糸って腐るものじゃないから、つい、気が向いたときに手にして、長期間放置して、ほんと、10年なんてあっというまですよねー(笑)
    ネットのたまものだと思います。ラベリーのプロジェクト画像の数々、ニッターさんのブログの存在、全部自分の作品を客観的にみる機会を与えてくれました。井の中の蛙が、編み物の世界は広いんだと、覚醒した瞬間ですw
    びきっくさんの木の葉のカーディガンの色も、すごく好き!ブリティッシュエロイカは、淡い色でもどこか渋みがあっていいですね。私もクリーンなパステルカラーは苦手で、地味渋な色ばっかり選んでしまいます。

    idylleさん、こんばんは**
    「コンビ式」の素晴らし過ぎるページ、後日私のほうでも紹介させてください。ものすごくおもしろかったです。これ、「コンビ式」時代の作品です(笑)このアラン模様はなぜか、編み地の粗が目立ちませんでした。こないだ完成した毛糸玉のアラン模様は、ダメだったです。長年の「コンビ式」道をついにあきらめざるをえませんでした。でも、世の「コンビ式」の方々を、常に応援するスタンスですヨ!
    三國さんのパターンって、妙に指定針の号数がでかくありませんか?ブリティッシュエロイカを12号で編めとか、どんだけ手のきつい人なんだって感じです。12号はゆるすぎて11号にしないと無理でした。
    失敗しても解いてやり直せるのが手編みの良さだけど、できればほどきたくないじゃないですか〜!今の私は相当ゲージやサイズに慎重です。数々の失敗作が無駄な経験ではなかったと思いたい。
    WordPressはカスタマイズが楽なんですよ、案外初心者でもすぐ設置できると思います。あと私の生業がwebやDTPのオペレーターなので^^;

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