「フランス式」vs.「コンビ式」:メリットとデメリット

前回の投稿の続きです。「コンビ式」ニッターであることが判明した私が、「コンビ式」について拙い説明を試みます。なお「コンビ式」とは私が便宜的にそう呼んでいるだけで、日本でこの技法に正式な呼称があるのかどうかは不明です。また、私は「アメリカ式」未経験者なので、この編み方は今回は除外します。

wikiに「combined knitting」のページがあるので、そこからまず素人訳(大筋で正しいはず)。

「Combined knitting」もしくは「combination knitting」とは、東洋の編み方と西洋の編み方の要素があわさったものです。このやり方はMary Thomasが1938年に発行した著書”Mary Thomas’s Knitting Book”の中で「平編みのやり方としてより良い方法」であるとして初めて紹介されました。編み地はより密で均一になるとあります。裏目のとき、糸を逆向きにかけることで、編み目の構造を変えます。そして、表目のときは、針を右側から編み目に入れます(東洋式)。針は表目のときも裏目のときも常に右側から入ります。基本的な調整としては、”k2tog”を指示されたら”ssk”を行う必要があります。その逆も然りです。アメリカやヨーロッパの編み図の殆どは、コンビ式のニッター向けに書かれていないため、各々で意図された編み図のデザイン通りになるよう、編み方を変更する知識が必要となります。あなたがもし編み物指導員で、コンビ式で編む生徒に遭遇したら、困難にぶつかるでしょう。このような生徒をサポートする適切な言い方や指導法は必須です。Combined knitting-Wikipedia

「常に右側から入る」という表現は、大雑把すぎて何のことやらなのでひとまずおいておきます。簡単に説明すると、「フランス式」は針にかかる糸の向きが表目でも裏目でも常に同じになるようにかけ方を操作します。「コンビ式」だとその手間を省略するため、表目と裏目で糸のかかる向きが変わります。前回の「毛糸だま」画像で言えば、「1」が「コンビ式」の裏目のときの状態、「2」が表目のときの状態で、実際に体験するとわかりますが、表目なら針の向こう側に、裏目なら手前側に糸があって具合良く糸と針の距離が接近するので、針の動きが最小限で済み、非常に合理的です。「コンビ式」ニッティングが、「最も早く編める技法」といわれるゆえんです。
「コンビ式」裏目をそのまま「フランス式」で編もうとすると、表目がねじり目になります。これをねじり目にならないように編んでいくのが「コンビ式」の表目です。これがまた、非常に楽です。海外パターンではねじり目は「ktbl(=knit through the back loop)」で指示されますが、「コンビ式」では表目の通常運転が「ktbl」なので、調整が必要になります。wikiに記載された「”k2tog”を指示されたら”ssk”を行う」のと同様に、「コンビ式」仕様のねじり目は「knit through the front loop」となります。ちなみに、ガーター編みと、輪編みのときだけ「フランス式」と同じ表目の編み方になります。

そして、最大のメリットは「裏目を編むのが楽」ということ。「コンビ式」では、裏目を編むときは、糸は針の下に引っ掛けて、とても自然な動きで目に通します。「フランス式」では、針の上に糸がきて、手首をねじるようにして目に通します。「フランス式の裏目を編む難しさ」について、「たた&たた夫の編み物入門」のこちらのページで詳細に書かれてますが、裏目が楽勝だった私にはなぜそんなに力説しているのか不思議でした。前回、「コンビ式」になった理由として、編み物を始めた子供の頃の私は、逆向きになっていることに気がつかなかったから、と推測したのだけど、そうではなくて、子供の指に「フランス式」の裏目の掛け方は難しすぎたのかもしれません。こうするほかなかったから、こうなったきもします。気づいて矯正する誰かもいなかったし、母は私の編んだものをほめてくれはしましたが(親ですしね^^;)編み方は一切頓着しませんでしたから。

裏目が楽であることには、代償があります。デメリットの話。これも私の体験からですが、「コンビ式」裏目は、毛糸の縒りと逆らって編むことになります。表目は縒りに沿って編まれるため問題ないのですが、裏目を編んでいると、縒りがだんだんほどけてきて、糸が割れやすくなります。複数段の最後の方は、毎回分解された数本の糸を束ねて編んでるようなありさまです。また、スピーディーに編めるメリットとして述べた「表目のときと裏目のときで、糸のかけ方が変わる」ことが原因と思われるのですが、メリヤス目のV字が表目と裏目で逆の方向に倒れます。これはちょっとかなり致命的なトラップです。

次回は「コンビ式」で編んだ編み地と「フランス式」で編んだ編み地の画像をお見せして、両者の違いをくらべてみようと思います。次が締めです。長くなって、すみません。

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「アメリカ式」でも「フランス式」でもない、私は「何式」だったのか

海外パターンを編むようになって良かったと思うことは、オチアイトクコ氏のいうように「手編みがおしゃれになった」ことではなく(件の本、購入して読みましたが、本当にピンとこなかった)子供の頃から編んでいた自分の編み方が、いわゆる「フランス式」でも「アメリカ式」でもなかった、ということを発見できたということです。
編み方に名前があるということは、なんとなく知ってはいたけど、絵的にそれぞれの流派がどんな編み方をするのか把握したのはやはりyoutubeのおかげです。少なくとも15年前はネットで動画ってこんな一般的じゃなかった。インターネットってスバラシイ。「アメリカ式」を初めて目の当たりにしたときは、あのアクロバティックな右手の動きに瞠目しました。どう表現したらいいのか、右手が目にも止まらぬ早さで針と糸の間をすっちゃかすっちゃか往復してます。どうしたらあんな調子で長時間編めるのか、正直今でも信じられません。
そして、糸を左手に持って編む私は、なるほど「フランス式」なんだなと、「フランス式」の動画をみてみたのです。驚きました。違うんですもの。いいようのない違和感。なんど再生してみても、「表目」も「裏目」も何かが違う。よくよく観察してみると、針への糸の掛け方が違う。「フランス式」の「裏目」の編み方はすごくややこしく、難しそうでした。
私はなんかよくわからないがオリジナルな編み方をしてるっぽいなぁと、特に深く追求することもなく、自分の編み方を続けてしまったのですが、海外パターンを編むようになって出くわした「kfb」がどうしてもできない、というところで、初めて躓きました。

「kfb」とは、日本の編み物本にはまず出てこない編み方です。「knit into front and back」の略で、1目から2目編み出して増し目をする方法。表からみて横に糸が渡るから「bar increase」とも呼ばれてるのを目にします。日本だと増し目は「ねじり増し目」かもしくは「一段したの目を引き上げて増し目」のどちらかです。「kfb」はとにかく簡単なので増し目の方法としては私は一番気に入っています。詳しいやり方はこちら(動画でもたくさん検索できます)。

combinedknit3ポイントとなるのは針にかかる糸の向きです。どうやっても「kfb」ができない原因は、糸の向きが私は「逆」なのでした。手持ちの「毛糸だま」バックナンバーにちょうど、向きを説明している画像を見つけたので載せてみます。「1」が「フランス式」あるいは「アメリカ式」の掛け方、「2」はその逆。私はこの「2」の掛け方をずっとしてきたのですが、これでは「kfb」ができないのです。なぜ「2」の掛け方になってしまったのかは謎です。左利きではありません。子供の頃、編み方は誰かに教わったことはなく(母は編み物より洋裁メインだったので、道具と毛糸はあっても、母が編み物をしている姿をみた記憶はありません)編み物本の後ろの方に載っている図解をみながらこうやるんかいな?と真似したので、そのときに逆方向になっているのに気づかなかったと思われます。

急に興味がでてきて、ならば「フランス式」でも「アメリカ式」でもない私の編み方は、一体「何式」なのかと調べてみたのです。そしたら、ちゃんと名前がついていて、邪道ではありますが、ちゃんと公式に?認められている編み方だということが判明しました。その名は「combined knitting」あるいは「combination knitting」というものです。さしづめ「コンビ式」でしょうか。youtubeでも少数ながら動画が存在しています。このやり方には、大きなメリットと、デメリットがあるのです。その大きなメリットのおかげで私は長年、「コンビ式」を続けてきたのでした。長くなったので、続きは次回に。

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【経過】ravelryから「breckon」その4:レースパターンの全容把握

もう2月。なんとなく春めいた日がときどき現れますね。油断してるといきなり雪が降ったりして、でも、そのうち寒さに棘がなくなり、月末にはもう梅も咲き始め、あれ?今日はなんかあったかいな?と思う日が続くようになって、気づけば春になってるんですよね。「breckon」はいまの季節に編み始めるのにぴったりのパターンだったなぁと、早くきてみたくて、編む手が止まらないです(なかなか時間はとれませんが)。

breckon4

袖が2本完成し、身頃にとりかかりました。かのこ編み砂漠、ゴム編み砂漠を越え、レースパターンが出てきたらもう楽しくて楽しくて。わずかにウエストシェイプをつけながら、袖下がもう少し。
レース模様はチャートがありますが、非常に簡単で、1模様編めばすんなり頭にはいってきます。あとはもうチャートをみなくても大丈夫です。

lacepat

簡単だけど、印象的な模様です。今はモコモコしてしまってますが、ブロッキングしてきちんと伸ばしたら、本当に可愛いだろうなあ〜(><) パターンの指示では、とじはぎする前にパーツのブロッキングをしてねと。 なので、それに従おうと思います。作品のサンプル画像では、かなりきっちり伸ばしてる様子がわかります。ていうかそうしないと、必要な身幅になりませんw いま単に平置きした状態だと20cm余。ボタンバンドの分も考えるとはいえ、23cmは欲しい。楽に伸びるので、心配はしてませんが、レースパターンびっしりのウェアを編むのは初めてなので、なんつーか、「勘所」みたいのが備わっていません。 ちなみに、前後身頃をつなげて一気に編む指定だったけど、5号針、200目を越える一目ゴム編みを10cm編める気しなくて、分ける事にしました。私はゴム編みをしていると首と肩が異常にこるのです。表目裏目が交互にでてくるかのこ編みは平気。何なんだろう。 にほんブログ村 ハンドメイドブログ 編み物へ
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【過去作品・着画】ravelryからアランカーデ「aidez」

 今シーズン編んだものはもうひとつあって、それはravelryの大人気パターン「aidez」。私もravelryを利用しはじめてすぐに、お気に入りに入れた記憶があります。去年の9月〜11月にかけて編みました。このカーデはシルエットが大人っぽいので、会社に着ていけます。

aidez1

使用糸:Cascade Yarns Ecological Wool
色:#8017(Platinum)
使用量:ぴったり2かせ(1かせ437mもあります。限界まで玉巻き器で巻いて、そのあとは手巻き。巻き終わったらサッカーボールサイズ笑)
サイズ:Mサイズの目数で、Sサイズ。指定糸の「Berroco Peruvia Quick」も持っていますが、こちらはだいぶ太いです。
使用針:匠 15号、12号

aidez3

本体を編み終えた時点で中途半端に糸が余ったため、ウエストベルトを編むことにしました。糸がなくなるまで編み切り。糸量に余裕あれば幅をもうすこし広げたかったけど、とにかく「結べる長さ」を確保するので精一杯でした。

aidez2

「aidez」の特徴的な「針に糸を2回巻いてあとでほどく縄編み」。aidez4最初はちょっと大丈夫なのかと、ゆるゆるになりはしないかと不安だったけど、仕上がりは問題なく、水通ししたら落ち着きました。ぐるぐる巻いて〜ほどいて〜巻いて〜ほどいて〜がおもしろかったです。見頃と袖に使われている「seed wishbone pattern」は、一昨年の冬に編んだ三國万里子さんのアランカーデで経験済み。指がなんとなくやり方を覚えてました^^
前があきっぱのデザインなので、寒い。ただ、ボタンつけると、デザインの良さがなんとなく半減しちゃうような…これはあきっぱだからいいんだよ〜とも思うし…思いつきでベルト追加。ベルトは「袋編み」で編みました。一目ゴム編みの作り目を延々繰り返していくとまあいつのまにか!的な。思いついた人、超グッジョブ。

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